病気の予防はもちろん、肌や髪の美容のためにも「塩素のないお水」を使ってほしいです
多面的にサポートを行う医療機関
マブチメディカルクリニック
院長 馬渕 知子 先生
塩素は細胞を持つすべての生命体に
作用してしまう成分なのです
「諸外国と比べても『日本の水は安全』と言われていますが、それは『お腹を壊さない』という意味での“安全”なのですね。塩素による殺菌のおかげで、食中毒や赤痢、コレラなど命に係わる重篤な症状を引き起こす菌のリスクが低いのは事実です。けれど、それ以外の面では私は注意が必要と考えています。」
「塩素によって殺菌ができるのは、塩素が菌の細胞を破壊するからです。それは、言い換えるとすべての細胞に対して塩素は同じように働く、ということ。私たち人間も細胞で構成されていますし、塩素が『破壊する細胞』と『しない細胞』を識別することはできません。つまり、塩素にふれるとすべての生物の細胞が破壊されるのです。」
炊事、洗濯、入浴など日常生活における
塩素の影響は多岐にわたります
「食材を水道水で洗うことで栄養素が破壊されている可能性は否定できません。ミネラルウォーターや浄水した水でお米を研いで炊くとおいしさが増す、緑茶やコーヒーも天然水で淹れるとおいしい、ということを感じている方も多いと思うのですが、この『おいしさが違う』という実感として『塩素のデメリット』を感じている方は多いと思います。塩素の影響がおいしさの問題だけでなく、健康にも影響していることをもっと知っていただきたいです。」
「肌は皮膚細胞で構成されており、外部から体内に異物を取り込まないための『バリア機能』が備わっています。ところが、水道水を入浴や洗顔など日常的に使うことでこのバリア機能が損なわれてしまう可能性があります。すると実感としては肌の乾燥や肌荒れを感じるようになるのです。」
「肌がカサカサと荒れた状態、つまりバリア機能が働かない状態になると空気中のチリやアレルギー物質などが皮膚の中に入り込むようになります。そうした物質に対してアレルギー反応を起こす症状が『アトピー性皮膚炎』です。最近ではアトピーと水道水の塩素の因果関係を懸念する声も増えてきていますが、塩素、皮膚細胞、皮膚炎、それぞれのメカニズムを考えて推察するとおそらくは、というよりほぼ、塩素が関係していると考えて間違いないでしょう。」
「塩素と接触したことで、その部分の細胞が破壊され無防備な状態になると、ウイルスへの抵抗力も弱くなります。もともと健康な人であれば、細胞がきちんと再生できますし、免疫力も働くので影響として実感することも少ないでしょう。けれど、乳幼児や高齢者、体力が弱っている方は反応ができやすいと思います。じつは、塩素は化学反応すると発がん性物質トリハロメタンを発生することでも知られているのです。」
− 近年、乾燥肌の女性が増えていることも「塩素が無関係ではないはず」と馬渕医師。
「いわゆる『皮膚が薄い』といわれるパーツ、頭皮、顔、陰部などは塩素に限らず、あらゆるダメージの影響を受けやすい部位です。近年では洗浄機能付きのトイレが普及していることから、陰部を水道水で洗浄する機会が増えていることも心配ですね。」
肌や髪のトラブルに悩んでいるなら、「洗う水」
を変えることがもっとも有効だと思います
「残念ながらその通りなのです。まず、乾燥肌ですが塩素が皮膚のバリア機能に関係している可能性は極めて高いと思います。小じわの原因の7割ぐらいは乾燥から起きるものなのですね。乾燥して小じわが出現すると、シミが気になり始めますがシミは肌の細胞の入れ替わりがスムーズに行われなくなって起きるものです。つまり、若々しさを保つためには肌を乾燥させないことがもっとも大切なのですね。そして、乾燥肌の方が増えた背景のひとつには、洗顔や入浴の頻度が昔と比べると高くなっていること。強すぎる洗浄成分入りの洗顔料を使っていることに加え、その際に使う水の影響も少なくないと思います。」
「今は20代、30代で薄毛のご相談に見える患者さんが増えてきました。若いころからカラーリングやパーマなどのヘアケアをしすぎていることも原因のひとつ、だと思います。髪は頭皮の毛穴から生えていて、毛根の細胞が元気であるかどうかが毛量や髪質に関係してくるのですね。この頭皮の毛穴は髪の根本であると同時に、外部からのさまざまな物質を吸収もします。シャンプーやパーマ液、カラー剤などが付着することで頭皮から吸収されるのです。こうしたものの蓄積が薄毛に影響している、と考えられます。頭皮の毛穴から成分が吸収される、と考えると洗髪のときに水道水から、細胞を破壊する塩素も吸収してしまうということです。塩素もなんらかの影響を及ぼしていると考えるのが自然です。」
「薄毛という点では毛根への影響が気になりますが、髪のツヤやしなやかさ、潤いには塩素のキューティクルへのダメージは無視できないと思います。最近では美容院でも洗髪するときも浄水を使っているサロンも増えてきていますよね。そのぐらい、大切ということです。なので、美容に関心が高い方も、皮膚や髪のことでトラブルや悩みがある方も『まずはお水を変えてみる』ことがとても大事だと思います。」
多面的にサポートを行う医療機関
マブチメディカルクリニック
院長 馬渕 知子 先生