体内で水が果たしている重要な6つの役割
この数年、夏の気温の上昇とともに熱中症予防として「水分を摂りましょう」とメディアを通じて盛んに啓蒙されるようになりました。熱中症は重症の場合、命をも脅かすこともあります。予防のために水分補給が大切であることは知られていますが、「水が大切」なのは夏に限ったことではありません。そこで、「水が私たちの生命にどのような役割を果たしているのか?」を詳しくみていきましょう。
人体のおよそ60~70%が水で構成されている
「人体のおよそ60~70%が水で構成されている」ことをご存知の方も多いことと思います。体内での水の構成比は年齢によって異なり、人生の中でもっとも高いのが新生児のときです。その後、加齢とともに徐々に水の構成比は下がっていきます。これは、細胞の水分を保持するチカラが年齢を重ねるごとに衰えていくためで、肌にシミやシワ、たるみが起こるのも、加齢や紫外線などの外的刺激によって、肌の細胞の水分を保持するチカラが低下することが原因です。若々しさを「みずみずしい」と表現するのは、感覚的な理由だけではなかったのですね。
成人の場合、体の大きさによって個人差はありますが一般的には約40ℓの保水量を持っています。そして、体内の水分を1~2%失うと「すごくのどが渇いた」という自覚症状が起きます。5%を失うと舌が渇き、12%を失うと死に至る、と言われています。
水の役割その1
『細胞の形態維持、代謝作用を促進』
細胞を維持するためには、水が不可欠です。言い換えると水のない状態では細胞は維持できず、死んでしまうのです。また、細胞は常に生まれ変わりを繰り返しており「新陳代謝」が行われています。新陳代謝の周期は胃腸は約5日、心臓は約22日、骨は約3か月と部位によって異なります。この細胞の生まれ変わりにも水が必要不可欠なのです。
水の役割その2
『血液など体液の循環を促進』
飲料水や食事などを通じて摂取した水や水分を私たちは小腸から吸収しています。吸収された水や水分はその後、血液をはじめとする「体液」となって全身を循環しながら、私たちの生命の維持にかかわるさまざまな役割を果たしています。この循環がスムーズに行われるように私たちは水を必要としているのです。
水の役割その3
『栄養素を溶解し、体内を循環しながら運搬して細胞に供給』
食事などから摂取した栄養素は水によって溶解され、小腸から吸収し血液やリンパ液となって体内を循環しながら心臓や脳はじめ、すべての臓器の細胞に届けられていきます。「栄養を摂る」という点だけを見ても栄養素の溶解と吸収、そして循環と、このすべてのプロセスに水が関わっています。
水の役割その4
『カラダに不要な老廃物を体外に排泄』
私たちの体内では常に代謝産物が生成されています。これらは尿素や尿酸といった体内毒素と呼ばれるものであり、汗や呼気、尿や便の排泄によって体外に排出されます。排出のためにも水分が必要であり、不足すると尿の量が減る、便秘になるなどしてスムーズに排出できなくなります。
水の役割その5
『血液の㏗を一定に保つ』
血液は㏗7.4前後の弱アルカリ性の状態を常に保っていることが生命維持には必要です。しかし、私たちの肉体は激しい運動などによって乳酸を代謝します。この乳酸が血液中に溶けると血液は酸性に傾いてしまいます。このようなときに、血液の㏗をベストな状態に戻し、それを維持するためにも水が貢献しているのです。
水の役割その6
『体の熱を放射して体温の調整を行う』
暑いときに発汗するのは、体温があがりすぎないようにするためです。なぜなら、人体は体温が40度を超えると、生命維持が危ぶまれるからです。外気温が暑くなると血液に含まれていた水分が汗となって発汗し、発汗する際の気化熱で体温を下げる働きをするのです。大量に発汗したときは失った水分を速やかに補う必要があります。
口から摂った水は体内を循環して排出される
まず、胃、腸を通じて血液となり、体中を循環しながら細胞へと吸収されます。生命維持のための働きをした後に水分は再び血液に戻り、腎臓を通じて、膀胱へと運ばれ老廃物と一緒に体外へと排出されます。これが、大まかな「水の摂取から排出までの流れ」です。人体には複雑な水分の吸収、ろ過、排出システムが備わっているのです。
私たちは体内にも腎臓という
「浄水器」を持っている
1日に腎臓がろ過する血液量は体格による個人差はありますが約180ℓ。ちなみに、成人の血液量は体重比で男性約8%、女性約7.5%です。例えば、体重70㎏の男性の場合約5.6㎏、体重50㎏の女性ならば約3.75㎏になります。